シャカシャ寺院には蔵書塔という建物があった。柱と外装は朱色に塗られている。
2人は蔵書塔を掃除するようにとクナルラ老師から支持され、蔵書塔に入った。
天上まで積み上げられた蔵書は、一応分類されているようだが、雑然としていた。3階までは梯子で行けるようであった。
ゲンダイが横になった梯子を見つけた。その下には床に傷ができている。
「ああ、お前が落ちたときの傷だろうな」
サイパウは頭の後ろに手を組んでいった。
「サイパウ、オレはここで何をしていたんだ?」
「確か、シャカイの秘術を調べるとか言ってたぞ。
てか、自分が調べたんだろ?オレに聞くなよ。おもしれ―やつ」
サイパウはバンという音と共に、蔵書塔の窓を開けた。埃が舞い、陽光に照らされ光の道が見えた。
(同じ条件を起こせば元の世界に戻れるかもしれない)
ゲンダイは梯子を登っていき、『シャカイの秘術』という本を探した。
「ゲンダイ、また落っこちるなよ」
サイパウが意地悪く言った。
ゲンダイは2階をくまなく見て回った。『シャカイの秘術』という緑色の金縁の豪華装丁の本が見つかった。
(シャカイの秘術・・・・・・これか)
ゲンダイは本を開いた。紙が新しく古い本ではないようだった。パラパラとめくってみたが、本の内容はさっぱり理解できなかった。
「ゲンダイ!いい加減、掃除するぞ!」
下の階からはサイパウの大きな声が聞こえている。
諦めて本を閉じようとしたとき、本の最後のページに署名があることに気づいた。
(ルシャ国、ホウラマ老師・・・・・・)
ゲンダイは、本を元に戻し、梯子を下りようとした。
「あっ・・・・・・」
ゲンダイは、梯子の横を落下していくとき、蔵書塔の天上が見えた。
ドスンという音が蔵書塔に響いた。
ゲンダイは不思議と痛みを感じなかった。
ゲンダイは恐る恐る目を開けると、サイパウが受けとめていた。
「だから言ったろ!」
サイパウはゲンダイを立たせた。
「これぞ、シャカイ武道の大地の技、「縁の下の力持ち」だ」
サイパウがニッと笑うと、ゲンダイは笑顔を返した。
「ダサい名前の技だな」
「オレが考えたわけじゃない」
「誰が考えたんだ」
「クナルラ老師だ」
「強いんだな、クナルラ老師」
「ゲンダイ、お前もできるだろ?忘れたのか?」
「だから、オレはこの世界の人間じゃないんだよ」
「おもしれーやつ」
2人は蔵書塔の掃除を終え、クナルラ老師いる広間へ足を運んだ。
2024/12/17 19:04 キクシェル
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