異世界遊記5 蔵書塔の掃除

長編小説

 シャカシャ寺院には蔵書塔という建物があった。柱と外装は朱色に塗られている。

2人は蔵書塔を掃除するようにとクナルラ老師から支持され、蔵書塔に入った。

天上まで積み上げられた蔵書は、一応分類されているようだが、雑然としていた。3階までは梯子で行けるようであった。

ゲンダイが横になった梯子を見つけた。その下には床に傷ができている。

「ああ、お前が落ちたときの傷だろうな」

サイパウは頭の後ろに手を組んでいった。

「サイパウ、オレはここで何をしていたんだ?」

「確か、シャカイの秘術を調べるとか言ってたぞ。

てか、自分が調べたんだろ?オレに聞くなよ。おもしれ―やつ」

サイパウはバンという音と共に、蔵書塔の窓を開けた。埃が舞い、陽光に照らされ光の道が見えた。

 

 (同じ条件を起こせば元の世界に戻れるかもしれない)

 ゲンダイは梯子を登っていき、『シャカイの秘術』という本を探した。

 

「ゲンダイ、また落っこちるなよ」

サイパウが意地悪く言った。

 ゲンダイは2階をくまなく見て回った。『シャカイの秘術』という緑色の金縁の豪華装丁の本が見つかった。

 

 (シャカイの秘術・・・・・・これか)

 ゲンダイは本を開いた。紙が新しく古い本ではないようだった。パラパラとめくってみたが、本の内容はさっぱり理解できなかった。

 「ゲンダイ!いい加減、掃除するぞ!」

 下の階からはサイパウの大きな声が聞こえている。

 諦めて本を閉じようとしたとき、本の最後のページに署名があることに気づいた。

 (ルシャ国、ホウラマ老師・・・・・・)

 ゲンダイは、本を元に戻し、梯子を下りようとした。

 「あっ・・・・・・」

 ゲンダイは、梯子の横を落下していくとき、蔵書塔の天上が見えた。

 ドスンという音が蔵書塔に響いた。

 ゲンダイは不思議と痛みを感じなかった。

 ゲンダイは恐る恐る目を開けると、サイパウが受けとめていた。

 「だから言ったろ!」

 サイパウはゲンダイを立たせた。

 「これぞ、シャカイ武道の大地の技、「縁の下の力持ち」だ」

 サイパウがニッと笑うと、ゲンダイは笑顔を返した。

 「ダサい名前の技だな」

 「オレが考えたわけじゃない」

 「誰が考えたんだ」

 「クナルラ老師だ」

 「強いんだな、クナルラ老師」

 「ゲンダイ、お前もできるだろ?忘れたのか?」

 「だから、オレはこの世界の人間じゃないんだよ」

 「おもしれーやつ」

2人は蔵書塔の掃除を終え、クナルラ老師いる広間へ足を運んだ。

2024/12/17 19:04 キクシェル

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