ショートショート

ショートショート

ジャンパーマップ(ショートショート)

美玲はスマホをタップして、地図をスクロールする。「いたいた!あそこに!」美玲は隣にいた和香に興奮気味に言った。「さっきジャンパーを買った人だ」「実験は成功のようね」美玲と和香は美玲のアパレルショップに向かった。「美玲、あなたは一体何がしたい...
ショートショート

カエルの恋(SS)

アオイドガエルはアカイドガエルと共に井戸を這い上がった。「見ろよ。オレたちの前に新しい世界が広がってるぜ」井戸を登り切るとアカイドガエルは言った。2匹のカエルはぴょんぴょんと跳ねていった。「見ろよ、あれがトンボが言ってた海って奴だぜ」山の中...
ショートショート

蚊取り家族(SS)

大平家は大広間に集まって、家族団らんをしていた。大黒柱の権蔵がのしのしと歩いてきて、上座にドスンと座ると、家族は権蔵の方を見た。「夏菜、お茶くみはいいから座りなさい」長女の夏菜は、湯飲みを権蔵の前に置くと、下座に座った。「今日は、真剣に人類...
ショートショート

ジビエのホルモン(SS)

それは同僚の安井から聞いた焼き肉屋でのことだった。安井の話では、旬のジビエが食べられるという。調度、時間があったので、夜に、彼女とふたりでそのジビエの焼き肉店に行くことにしたのだ。のれんを手でよけて引き戸を開けると、中年の店員がいらっしゃい...
ショートショート

分厚いファイルの中心で(SS)

空調の音が低くうなっている。河西は、薄暗い資料室で数冊のファイルを手にした。資料をパラパラとめくる。上司の命令で、膨大な量の資料整理を頼まれた。ここ先週からこの一室から出られない生活が続いている。資料整理とは聞こえがいいが、要するに、主要戦...
ショートショート

セコムザムライ

1スーパームーンの秋の夜のことだった。世間ではアニメの海賊の名前の強盗団が報道されていた。夜の闇夜に乗じて、2人の強盗が薄暗い一軒家の窓を開けようと物色していた。そそくさと塀の中に紛れ込んだ。「早くしろ、急げ」強盗の1人は窓ガラスを丁寧に音...
ショートショート

(SS)長寿の原人

旅人がその村に着いたのは昼過ぎだった。暑い日差しが照りつけ、ツクツクボウシの鳴き声がハーモニーを奏でている。旅人は湧き水を水筒に入れ、ごくごくと流し込み、喉を動かした。「おー、この辺では見かけんな。旅か」イケメンの青年に声をかけられた。「は...
ショートショート

(SS)回復のエキスパート人形

男にとっては、上司の激怒の顔が忘れられない帰り道だった。大きな失敗をしてしまった。行きつけの居酒屋も臨時休業の張り紙がしてあった。今日は何という日なんだ。毎日、あまりに忙しくて、寄り道をすることはなかったが、今日はまっすぐ帰りたくなかった。...
ショートショート

(SS)フェロモン神社

山の奥に神様をフェロモンで引き寄せるというフェロモン神を祀る神社があった。参拝客はフェロモン神社を参拝すると、金運が上がったなど、良縁に恵まれたなど御利益がとてもあった。それは、フェロモン神社が神様を引き寄せるからに他ならなかった。ある女性...
ショートショート

(SS)筋肉どんぐり

医薬品メーカー・マッスルハッスル株式会社はついに、社運をかけた筋肉を強化するという筋肉どんぐりを開発した。マッスルハッスルの社員は歓喜し、喜び勇んで、医薬品登録をしようとした。 しかし、あまりにも筋肉が増強するというので、筋肉どんぐりは認可...