3人の男が傘を差して、深夜の住宅街を歩いていた。
風呂敷を持っていた男は、雨が打ちつけて、泥が着物にはねてついていたが、上等の着物を着ている。
住宅街を抜けるとその町並みからは想像できない白い異国の建物が姿を現して、男たちを門の前まで吸い寄せた。
西華帝国の領事館で、黒い槍を並べたような大きな門が付いている。
長い銃身にサーベルをつけたの銃を持つ衛兵が2人、男たちの前に銃でバッテン字を作った。
「長珠藩、金藤屋、阿辺須銀太郎と申す。総領事にお目通り願いたい」
パラパラと傘に打ちつける天之音がしている。
「アベシュ・・・」
衛兵は顔を見合わせ、何か異国の言葉で話し、
「ギンタロ、ワカタ、ハイレヨ。リョウジ、マテル」
門が開き、3人は領事館の庭に入っていった。
建物の玄関の前には執事がいて、中に案内された。
「カサ、ソコニ。アシ、フクトイイ」
領事館の入り口に三人はカサを立てかけ、手渡された布で足をふいた。
領事館の廊下は赤絨毯がひかれており、白い円形の柱が何本も奥の方へ、続いて立っている。
奥の部屋には竜魔獣をかたどった白い彫像も飾られていた。
「マッテイタヨ、ギンタロ-。イツクルカト、オモテイタ」
総領事は、短い煙管に火をつけて、煙を吐いた。
「我々も危ない橋を渡っておりますので」
銀太郎はそういうと、にやりと笑った。
「ソンナハシ、アタラ、ミタイヨ」
領事も笑って煙を吐いた。
「カンタイニ、レンラクシタ。ホウダイノミブッコワス。ジンミン、テキチガウ」
「それは御家老も大層、喜びになると思いまする」
領事は煙を吐きながら笑った。
「デ?ギンタロ-。ツギ、ナンノヨウボウカ」
「桜川幕府をぶっ潰して頂きたい」
領事は、部屋を歩きながら考え込み、部屋の隅の鳥かごの中に入ってにいた文鳥を指の背に載せた。
「ギンタロ-、ワタシ、コノクニダイスキ」
銀太郎は表情を変えずに領事の方を見ている。
「デモ、ソコクノホウガダイスキ」
「では・・・・・・我々の計画に賛同して頂けると?」
領事は目を細め、煙を細く吐いた。
銀太郎は風呂敷の包みを、テーブルに載せた。
開くと、中から黄金色の大判が束ねてあった。
「ギンタロ-、ワタシソウイウコトイッテナイ」
「何かと用入りかと思いまして、お受け取り下され」
「ギンタロ-、ソウイウトコアルー」
領事は、銀太郎の手を握って、
「ワカタ。カンガエテミル」
「必要であれば、もう少し用意できますが」
「ギンタロ-、ソウイウトコアルー」
領事は笑顔で、銀太郎の手を握った。
4人の影が領事館の窓に映ったのを、見ていた人影が1つあった。

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