未の刻(13時~15時)のことだった
南の雄藩、朝津摩藩(あさつまはん)の藩士達は、命京、旧徳寺にて会合を重ねていた。
「最近の攘夷派(じょういは)の連中はやり方がえげついのう」
朝津摩藩、国母利道(こくぼとしみち)はそういってドサッとすわり、胡座(あぐら)をかいた。
「われらも攘夷ですがの」
がははと、南郷守隆(なんごうもりたか)と笑いながら言った。
「西華の殺傷兵器は凄まじい戦闘能力だ。我が国はあれを取り入れねば、帝国の一部になってしまい、自主独立は危ぶまれるだろう。いずれにせよ、国を守るため開国するのだ。開国して技術を取り込んで、我が国を強くする。今は、攘夷するのは早すぎる」
「国母さんらしいのう」
南郷は大きな口を開けて笑った。
「南郷、藩命で攘夷派を粛清する指示が出ている」
「どういうことだの?オレらが粛清されると言うのかの」
国母は長い髭を撫でながら言った。
「いや、我らに攘夷派を粛清するようにと言うことだ」
「べ? 同士を討たにゃならんというのか? そんなことはわしはできもうさん!」
南郷はそう言うと、膝を大きく叩いて眉を傾けて憤った。
「しかし、藩命に逆らえば、我らも粛清される。ここは藩命に従い時を待つことが、国のためだ」
国母がそう言うと、南郷は国母の胸ぐらをつかんだ。
「国母さん、あんたぁ、人間の心があるのか? 同じ志の同士を討て言うんか! 国のためになんでわしらぁ、仲間を討たなければならん」
「オレは討つぜ、南郷さん」
刀を差して柱に背を持たれていた、川上鬼三郎(しもかわかみおにざぶろう)が言った。
「川上は黙ってろ。わしは国母さんに話しとる」
「藩命に従い、命京の攘夷派を討つ。これは決定事項だ」
「わしは参加せんぞ!」
国母は首を傾けて骨をならした。
「ならば、仕方あるまい。川上」
国母がアゴで指示すると、川上が南郷の刀を取り上げ、刀を抜いた。
「なんのつもりか!」
南郷は立ちあがろうとしたが、そこにいた数人に押さえつけられた。
「南郷、お前が協力しない場合は捕らえるよう藩命が出ている」
「お主ら、後で地獄を見るぞ!」
南郷は縛り上げられ、連れて行かれた。
「国母さん、あなたは本気で南郷を処刑するつもりですか?」
川上が国母に近づいて言った。
「南郷にはまだ働いてもらわねばならん。まだ、その時ではない」
国母は髭を撫でながら言った。
2026/05/13 10:19:39 キクシェル

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